2013年3月23日土曜日

ブザンソン ヴォーバン設計の城砦がある町


ブザンソンbesançonは東側をスイス国境に接するドゥー県Doubsの首都で、蛇行するドゥー川によりリング(環)状になったところにあります。

この町は、隔年でクラシックの国際音楽祭が開催されることで有名で、その昔に指揮者コンクールで小澤征爾が優勝したことでも知られています。



町の周囲を流れる川が濠のように町を守り、首のように細い陸続きの部分にも小高い丘があって外敵の侵入を防ぎやすいことから、この町は昔から軍事的な拠点として、また政治的、宗教的にも中心的な役割を果たしてきたということです。

町の南東部に聳える城砦に行く途中にある、サン・ジャン大聖堂です。
外壁が修復工事中で、かなりの部分が養生で被われていました。

 その手前にあるノワール門です。
ここも修復中でした。




ノワール門のそのまた手前左側にある小さな公園のような場所には、入口の門だったのでしょうか、古い柱列が残っています。
ここは、昔のローマ小劇場跡だそうです。











公園の中では、子どもたちが遊んでいました。
真ん中にある石造りの遺跡に、劇場があった頃の配置図があります。








城砦の入口あたりです。
外敵の侵入を防ぐための濠があります。












もともとブザンソンへ陸から入る唯一のルートである町の南東部の丘部分(首のように細いところ)にこの城砦が作られたのですから、特に城砦が出来てから町の守りは実に堅固だったことでしょう。

ヴォーバンはルイ14世に仕えた、17世紀に活躍したフランスの技術将校です。軍人であると同時に、建築家、都市計画家でもありました。
生涯で、新たに基礎から築いた要塞が37か所、改修に携わった要塞が300か所、攻略した要塞が53か所あったそうです。
ヴォーバン式要塞は稜堡式城郭の完成形とも言えるものだそうです。それまでの要塞と比較しても独創的なものはないものの、それらを体系化したところに大きな功績があると評価されています。

また、近代的な稜堡式の要塞の築城法を体系化し、「落ちない城はない」と言われたほどの要塞攻城の名手だったと言われています。
ヴォーバンの要塞は堅固で、攻略されないため様々な工夫が施されているのが特長です。

でも、スペイン継承戦争のとき、自ら築城した要塞が攻略されてしまうということもあり、どちらかというと防御よりも攻撃が得意な人だったのかも知れません。














城壁の一部は、その内側を歩くことができるようになっています。
壁の外をのぞき込んでは「ウァー!!すごく高いね!」と感心してしまいました。











城砦は小高い丘の上にあり、上からの眺めを楽しむことができます。












川が蛇行している様子も見ることができます。




この城砦内には水族館があり、錦鯉が飼われています。












動物園には、オーストラリアから連れて来たワラビーがいました。
尻尾にシマ模様があって、タスマニアのものとは種類が違いますが、異郷で偶然知人に出くわしたような、なつかしい気持になりました。











ワラビーの赤ん坊がどういう状態でいるかを説明しているパネルです。
写真で見ると、まるで赤いアリのようで、哺乳動物には見えませんが、ちゃんとおっぱいをくわえています。こういう状態で数ヶ月間育って初めて私たちが知っているワラビーの赤ちゃんの姿になっていくのです。








城砦内にあるヴォーバンの像。
設計図を見ているところでしょうか。足元にコンパスやら定規やらがころがっています。














濠の中に猿(たぶんマントヒヒ)が何匹か飼われています。

2匹がのんびりとお互いに蚤をとってやっていましたが、猿も登れないほどの急な濠の壁だということが分かります。




帰りに小学生の団体に出くわしました。これから城砦内で校外学習するところのようです。
城砦のことだけではなく、水族館や動物園もあるので、学習できることがたくさんありそうですね。
(2012年5月)