町の入口にサインがあったので、どこから町に入ろうかと思っているうちに、町から抜けてしまいました。
それほどの小さな町です。
コート・ド・ニュイは、あのロマネ・コンティやシャンベルタンを産することで知られたワイン地区ですが、ニュイ・サン・ジョルジュはカシスのリキュールを造っているそうなので、ちょっと立ち寄って見ました。
カシスとは、黒すぐりのことで、英語ではブラックカラントBlackcurrantとなります。少し苦味があって、それをベースにしたコーディアルやリキュールの味は、薬を飲んでいるようでちょっと苦手です。
小さな町なので、カシスのお店なんかがすぐに見つかるかと思っていたのですが、それらしいものはありません。
近くで採れた農産物を売るお店でしょうか。八百屋さんというよりアンティークショップというような雰囲気のお店です。
フランスのあちこちにあるスーパーマーケットのチェーンCasinoです。
小規模な店が多いので、買いやすいのと、品質は結構良いのでたびたび利用しました。
商店の前に止まっていた自転車は、郵便配達用のものです。
ペダルの周囲を見ると、補助動力が付いているようですから、バッグに郵便をいっぱい積んでいても楽に走れるようになっているのでしょう。
小さな広場にあった噴水。
カシスの博物館などは、町の中心ではなくて駅の反対側にあるということが分かりました。
カシスよりはぶどうのジュースが好みなので、ここはパスして次へ行くことにしました。
また今度、ロマネ・コンティを買いに来ることにしましょう。
ブルゴーニュのなだらかな丘陵に広がるぶどう畑はとても美しいです。
ぶどう畑を見るのが好きになったのは、ブルゴーニュに来たことがきっかけになったかも知れません。
時季にもよるのでしょうが、ブルゴーニュのぶどう畑では、人が働いている姿をよく目にしましたが、それだけ手入れをしているということなのでしょう。
それだけ人手をかけているということもあるから、値段が高くなるのでしょう。
いや、逆かも知れません。
ヴージュVougeot の町はずれのぶどう畑の中にシャトーが建っていました。
シャトー・デュ・クロ・ド・ヴージュChâteau du Clos de Vougeotです。
このシトー会修道士の館だった建物は、現在では昔のワイン造りの道具の博物館になっています。
また、ブルゴーニュ最大のワイン祭りである「栄光の3日間」というイベントがこの場所で行われるということでも知られています。
中に入ると、正面に大きな屋根の農家らしい建物が目に入ります。
ぶどうを搾る古い装置の展示がありました。
太いしっかりとした木材で作られています。
この装置で、どれぐらいのぶどうを搾ったのでしょうか。
ぶどう酒を熟成保存するための樽です。
形は樽というよりも桶です。それに金属製のタガがはまっています。
収穫したぶどうのカゴを肩にのせた人の石像がありました。
この像は比較的新しそうなカンジでした。
売店で求めたテイスティング用の小皿です。
錫でできているこの小皿、浅い造りによりワインの色の違いが分かりやすいことでしょう。
また、底から側面にかけてのパターン模様は単なるデザインではなくて、ワインに空気を含ませやすいようにしたものだと思われます。
長年にわたるブルゴーニュワインの歴史が、こういう実用品でさえも洗練された工芸品の域に押し上げてしまったようです。
(2012年5月)